噛めない人、歯が少ない人ほどボケやすい!?

抜けた歯をそのままにしておくと、アルツハイマーになる危険がアップ!

噛めない人、歯が少ない人ほどボケやすい!?

だいじょうぶ '99年10月号より


歯は脳に直結する鋭敏なセンサー。
歯のダメージは脳のダメージに!


歯は超敏感な感覚器

 「口の中は、単なる食べ物の入り口に過ぎない、と思われがちですが、そんなことはありません。歯は、視覚、聴覚、嗅覚、触覚と同じくらい敏感な感覚器なのです」と、名古屋大学医学部の上田実教授。
 私たちは日頃、ぱりぱりと漬け物を噛み、しこしこした新鮮なお刺身に舌鼓を打ったりしています。このぱりぱり、しこしこ感や、熱い、冷たいなどの感覚も、歯、舌、歯茎、頬の粘膜などから膨大かつ複雑な情報が脳に伝えられるからこそ、味わえるものなのです。
「われわれは、厚さ数十ミクロンといわれる髪の毛が1本、上下の歯の間にはさまっただけで、すぐ異物感を感じます。それほどに鋭敏なセンサーとして脳に信号を送っている歯は、とても大事なものなんですよ」(上田教授)


アルツハイマーの危険因子に!

 その大事な歯の損失は、アルツハイマー型痴呆の危険因子になる、と上田教授は指摘します。
「アルツハイマーは、原因不明で特効薬もない病気です。ただ、危険因子はいくつかわかっていて、歯の喪失も、そのひとつになり得るのです」
 上田教授の口腔外科学教室グループが、ある老人施設で健康な老人78名、脳血管性痴呆老人39名、アルツハイマー型痴呆老人36名の歯の調査を行ったところ、アルツハイマー型痴呆老人群に、飛び抜けて歯の喪失が目立った、というのです。
「健康な老人群と比べ、アルツ老人群は、平均すると3分の1しか歯が残っていませんでした。そして、入れ歯の使用頼度は健康老人の2分の1。というのが大きな特徴でした」
 さらに、アルツ老人群では、歯の喪失数が増えるほど、脳の萎縮程度も上昇していたとのことです。
「統計的にみると、アルツ老人群では、健康老人より20年も早く歯を喪失しています。つまり、歯の喪失と長年にわたる放置。このふたつの要素が重なるとアルツハイマー発病のリスクは、統計上3倍になります」


上田実(うえだみのる)
名古屋大学医学部 口腔外科教授
『口腔は、日本人が最も軽視してきた臓器。
 咀嚼は全身の健康と密接に関連します』
  • 院長: 波多野 一
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